+50%と-50%を平均すると0%、でも元には戻らない
この例が一番分かりやすいので、私も平均リターンの説明では最初に使います。100が1年目に+50%で150になり、2年目に-50%で75になると、年次リターンの算術平均は0%です。しかし資産は100から75へ減っています。
| 年 | 年次リターン | 値 |
|---|---|---|
| 開始 | — | 100 |
| 1年目 | +50% | 150 |
| 2年目 | -50% | 75 |
同じ2年間をCAGRで見る
開始100、終了75、期間2年としてCAGRを出すと約-13.40%です。これは100を2年間、毎年同じ複利率で減らして75へ到達させる年率です。資産の実際の結果と整合するのはこちらです。
(75 ÷ 100)^(1 ÷ 2) − 1 ≈ -13.40%
算術平均が悪いわけではない
算術平均は『観測した年次リターンの平均はいくつか』という質問にはそのまま答えます。CAGRは『最初から最後までの複利結果を一定の年率へ直すといくつか』に答えます。私は質問を先に決めてから平均の種類を選びます。
複利比較では幾何的な考え方が必要
複利では各年の成長係数を掛け合わせます。+10%なら1.10、-10%なら0.90です。単純に%を足して平均するだけでは、掛け算で進む資産の経路と一致しません。
複利成長係数 = (1 + r₁) × (1 + r₂) × ... × (1 + rₙ)
私が使い分ける基準
- 年次リターンの平均値そのものを知りたい → 算術平均
- 開始値と終了値の複利年率を知りたい → CAGR
- 毎年のリターン列から複利平均を求めたい → 幾何平均も検討
- 途中で入出金がある → CAGRではなくIRR/XIRRを検討